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先制医療

病気の発症を予測して早期介入する「先制医療」

犬を診察中

健康に暮らしている動物たちであっても、老化や遺伝性の先天性疾患、生活環境によるストレスといった健康に対する不安要素を抱えています。例えば7〜9歳の犬の場合、中年期からシニア期の変革期に当たって体調の変化が起こりやすい時期になります。病気を発症したり不調を感じていたりはしないものの、発症する要素を抱えた段階である「未病」の状態になります。
当クリニックでは「未病」状態の動物たちの深刻な病気の発症を遅延、防止するために、診断・予測、治療的介入といった「先制医療」を推進しています。

1〜3歳のころの血液検査の値と現在の数値の比較が、より正確な診断結果に繋がります。

動物たちの健康状態や病気を発症する前段階である「未病」の状態を把握するために重要なのは『血液検査』です。中年期のワンちゃんであれば、1〜3歳までの標準値と比較すると年齢的要因、遺伝的要因、生活環境の変化と照らし合わせながら検査結果を評価します。この時、大切なのは1〜3歳の間にも検査を行い、一般的な値ではなくその子自身の標準値を測定しておくことが後々の病気の発症を防ぐことに繋がります。

「先制治療」の第一段階は食事環境の改善とサプリメントの投与から始まります。

血液検査などの健康診断で重要なことは毎年検査を行い、検査結果の変化を早期に把握するということです。気になる変化が現れた場合には、生活環境の変化や種の遺伝的特徴なども考慮し、予見される病気の発症を予測して、早期に介入治療を行うことが可能です。治療としては、食事環境を中心とした生活環境の改善やサプリメントの投与が中心となります。

突然発症してしまうことがないように取り組んでいます。

健康診断で多少気になる数値が現れたとしても、目の前にいる動物たちの状態を見て「こんなに元気なのだから大丈夫」と思ってしまうこともあるかもません。しかし、その数値は『未病』状態の中でも『発症』に近づいていることを示している場合もあります。発症してから治療を始めると、費用や時間も多くかかることになり、動物たちの身体にとっても多大な負担となります。検査結果に対して、早急に先制治療を始めた方が良いのか、それとも運動や生活習慣の改善で対応していくか、様々なデータを基に判断しながら飼い主さまとご相談しながら治療を進めていきますので、気になることや疑問点がございましたら気兼ねなくお話しください。

未病について

しんどそうな犬

未病とは発症には至っていないものの、軽い症状や兆候が現れている段階です。
健康状態と病気の発症の間にある状態です。
医療の発達により動物でもより細かい検査が可能となりました。
病気に至る前に改善できたり、今後の治療方針を明確にしたりなど、飼い主さまにとっても知るべき心構えが必要です。

健康診断とそれに基づく介入医療

犬の診察

医療は、3つの段階に分けられます。まず医療の基礎は、予防医療です。予防医療は、病気にならないための医療のことで、具体的にはワクチン接種、フィラリア予防、ノミ・ダニ予防、良質な食事、良い生活環境、避妊・去勢などが挙げられます。これらの予防を実施することで病気の発病の防波堤となり平均寿命が延びてきております。一方、これらの予防医療を怠ることで病気が早期に発症したり、感染症にかかったりします。例えば、小型のワンちゃんは6歳以上から心臓病の発病の危険性があります、長年塩分過多の食事摂取環境により高血圧から心臓病の早期(若年)発症の可能性があります。このことから予防は、医療の重要な基礎医療といえます。

しかし、予防をしっかりしていても、病気は何時か発症するものです。それは、年齢的、遺伝的、環境的な要因によります。また、病気は、一見突発的に発症したように思われますが、実は体内で潜行し、進行していきます。どのような病気も一見突発的と思えますが発症前の段階(前兆)があります。東洋医学的には未病と呼ばれる状態です。

近年、人の医療においてこの未病になる前の段階で健康状態を把握し、発病の予測を行い、早期に介入して発症を抑えるのが現潮流です。発病した時点では、回復、改善するには時間とお金がかかります。そこで前段階の未病状態で将来発症すると予測される疾患を未然に防ぐために早期に治療を介入することです(予見的治療とも)。この早期介入治療(先制医療)は、ただ単に薬を投与するのではなく、生活環境の改善や、サプリメントの投与に留めることもあります。

これを、医療の第二段階の先制医療と呼びます。
先制医療の目的は、早期に介入して医療の負担を軽減し、健康寿命を延ばすことです。

そして第三段階として治療医療です。発病して病態となった動物に対して治療を施す際に、その病態を把握し適切な治療を行います。状態を確認するには定期的検査と病態時の検査情報を比較することが重要です。

先制医療の概念図

※「戦略イニシアチブ―超高齢化社会における先制医療の推進.科学技術振興機構研究開発戦略センター臨床医学ユニット.2011.」より引用

まず、個の標準値を決めなければいけません。ワンちゃんの各年代における血液検査の意義として、1歳~3歳まではその子の固有の正常値(標準値)を決めるために検査します。検査結果表に付帯してくる標準値のようなものはあくまでも参考値で色々な年代、各犬種の平均値を標榜としています。従って、その子が健康である年代1歳〜3歳までの値とは意味が違います。本当の標準値(正常値)は個別的な意味も含め1歳~3歳の通年の検査結果の平均値です。

7歳~9歳までは、中年期からシニア世代の変革期です。この時に体調の変化があり病気になるか、未病の状態になります。その健康状態もしくは未病の状態を把握するために血液検査が重要です。1歳~3歳までの標準値と比較して年齢的、遺伝的要因、生活環境の変化と照らし合わせて検査結果を評価します。

11歳~12歳は、人の還暦に相当する年齢です。このあたりを過ぎる頃に大きな病気をするので検査が重要な意味をなします。

また、健康診断で重要なことは、毎年行い結果の変化を把握することです。また、生活環境変化、種の遺伝的特徴とも照らし合わせ予見できる病気の発症を予測して、早期に介入治療することです。その際の治療としては薬だけではなく、生活環境の改善(特に食事環境)や、サプリメントの投与、時には早期に薬の投与が必要となります。

先制医療(介入医療)の実際

ワンちゃんおいて、先制医療の概念に基づいて診察、治療をしております。近年アメリカ獣医内科学会(ACVIM)により慢性心不全の診断・治療のガイドラインが発表され、これを基に診断、治療を行っております(病態ステージをA~D分類)。まず、シニア世代のワンちゃんにおいて聴診において心雑音の有無を確認します。次に身体検査にて心不全の兆候(咳、運動不耐性など)の確認を行います。心雑音が聴取される場合、ワンちゃんの場合僧帽弁閉鎖不全症の子がほとんどです。弁膜症は、進行性の病気で無症状のワンちゃんでもいずれ心不全が発症します。心雑音が聴取され、無症状のワンちゃんは先制医療の概念から未病の状態です。未病の状態においても病気に近い未病か、健康状態に近い未病かは外見からは判断できません。従って、あらかじめ心雑音のある子は、さらに検査し病気の状態の把握に努めます。心雑音が聴取され無症状のワンちゃんは、ACVIMの分類のステージBに相当します。さらにステージBは、B1とB2に分類されます。一昨年アメリカの論文にてステージB2から治療を始めると発病が遅れ病気の進行が遅くなることが報告されましたEPICスタディー(Boswood, A., et al. “Effect of pimobendan in dogs with preclinical myxomatous mitral valve disease and cardiomegaly: The EPIC Study—a randomized clinical trial.” J Vet Intern Med. 2016 (6):1765-1779. : https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27678080)。

この報告と今までのデータを統合すると、ステージB2からの介入治療を始めています。ステージ分類にはまずレントゲン、心電図、バイオマーカー、エコーを用います。バイオマーカーは、特に力を入れています。バイオマーカーはANPとトロポニンCを用いております。ANPは、左心系の不全の程度を反映し、トロポニンCは心筋の障害度を表しています。ANPの値は左心不全のグレードに良く相関していてB2は、50以上(RIA)に相当します。さらに95以上(RIA)の値はステージCに相当し、無治療だと余命が短いとされています。ANPは、客観性が高く血液検査で判定できるので、心雑音のあるワンちゃんにはこの検査を行いステージ分類をしています。B1に分類されるワンちゃんは、半年ごとの定期な検査のみを行い、投薬はなしで観察のみです。しかし、ステージB2の子は、1日1回の心臓の薬と心臓病用のフードをお勧めします。このステージの子は、進行性が早いので3ヶ月~6ヶ月おきに心臓の評価をします。進行を遅らせ健康寿命を延ばします。

腎臓の場合、以前まで血液検査の指標としてBUN、Creを用いてきました。しかし、この値が上昇する頃にはすでに臨床症状が出ています。近年では腎臓においても未病の状態を把握するためにバイオマーカーを用いています。バイオマーカーとしてシスタチンCとSDMAを用います。また尿検査においてUPC値からも未病状態を把握できます。これらの検査から腎臓の健康状態(IRIS:International Renal Interest Society分類)を把握し、早期に介入することにより健康寿命を延ばすことが可能です。 

近年、人においてメタボリックシンドロームが問題となっております。ワンちゃんも同様に肥満、高脂血症、高コレステロールが問題となっております。このまま放置しておくと脂肪肝、糖尿病、呼吸困難になります。血液検査で高中性脂肪、高コレステロール、高ALPのワンちゃんには、この状態に対する療法食と運動(プール療法を含む)を勧めています。

今後の先制医療(介入医療)の展望

女の子と犬

現在、ワンちゃんの健康状態の把握には、問診、触診、視診、聴診、尿検査、糞便検査、血液生化学的検査、心電図、超音波検査、レントゲン検査、バイオマーカー検査(SDMA、ANPなど)を駆使して健康状態を把握するのに努めています。しかし、なかなか早期に未病状態の理解をできない面があります。今後未病の先制医療の介入に努めるために、検査の精度向上と先進の検査導入(院内遺伝子検査確立を年内。ストレス関連遺伝子など)を目標としております。さらに再生医療の分野の技術導入を予定しております。

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